選擇傳弘決疑鈔

せんちゃくでんぐけつぎしょう

senchakudenguketsugisou

浄土宗第三祖然阿良忠(1199-1287)の撰述にかかるもので、著作五十余帖を数えるなかで、『観経疏伝通記』とともに彼の代表的な著作物である。弁長より授けられた『選択集』を注解し、適宜に問答体によって、異流の義を論派したもので、建長六(1254)年の作。はじめは在阿の要請時では四巻本であったが、建治三(1276)年以降は、五巻本(再治本)となった。

本書には、十三種の版本と三種の写本が存在しているなか、写本では本館所蔵本と鎌倉光明寺良暁(1251-1328)書写本、断簡として金澤文庫がある。この本館所蔵本は、奥書から良忠没後十三年にあたる永仁七(1299)年に良忠自筆の再治本から書写したもので、佐介御房とあるから悟真寺に伝承した書写本であろう。また良暁本と較べると字体等によりほぼ同時期のものではなかろうか。

『佛教大学図書館蔵貴重書図録(1997年発行)』より