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『紫式部日記』の成立 : 献上本・私家本二段階成立の可能性 (中古特集) |
『紫式部日記』は、謎を多く抱えた作品である。全体は四つの部分から構成されるが、各部の関係は明確でない。内容は主家賛美と自己省察という公私二極にわたり、どちらを主なテーマとするかが判然としない。また盛り込まれた情報には、世間への公開、あるいは主家への報告に適したものがある一方、主家女房への批判など厳に秘すべきものも存在する。さらに外部資料によれば、この日記にはかつて現存冒頭以前の記事があったようである。本論では、こうした錯綜した現状を、現存本の成立事情に由来するものと考えた。即ち『紫式部日記』は、当初彰子の第一子出産を中心記事とする「献上本」が書かれ、主家に献上された。だがその後、娘賢子の彰子への出仕を控えて紫式部が「私家本」を作成、「献上本」の公的内容に加え、自らの思い、後宮の抱える諸問題、人々の情報などを盛り込んだ。その際冒頭以前に付加した記事がやがて脱落したのが、現行の作品だとの見解である。 |
Departmental Bulletin Paper |
日本語 |
山本淳子 |
京都語文 |
佛教大学国語国文学会 |
13424254 |
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65 |
82 |
2010年11月27日 |
https://bukkyo.alma.exlibrisgroup.com/discovery/openurl?institution=81BU_INST&vid=81BU_INST:Services&rfr_id=info:sid%2Fsummon&rft_dat=ie%3D21299604520006201 |
https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/KG/0017/KG00170R065.pdf |
https://archives.bukkyo-u.ac.jp/repository/baker/rid_KG001700000508 |
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