BR010400010429 |
現代医学と仏教医学(その2) : 解題と補遺と余剰 |
Modern Medicine and Buddhist Healthcare (Part 2) : Their Annotations, Supplements and Redundancies |
本稿は、前論考「現代医学と仏教医学」(村岡 2017)の解題と補遺を行ないながら、仏教医学の今日的存在価値を評価したものである。第I節では、仏教医学とは何かについての概念を川田洋一氏の『仏法と医学』(川田洋一 1975)を中心に仏教医学の体系について紹介しつつ、仏教医学が専ら、医療人類学でいう民俗セクター属する医療と認定した。第II節では、仏教医学の総論を概観した。特にその四諦、八正道、十二縁起などのシステムが、現代医学と通底していることを確認した。また、八正道と異なり六波羅蜜のような利他行も現代医療には見られない側面である。さらに仏法的病理学や産科学では、中有身や業や、それによる三事和合の観念が現代医学との大きな違いであることを示した。第III節では、仏教医学の四弘誓願をとりあげ、仏教医学では医師をはじめとする医療者と病者が相互行為(慈悲行)を通じて修行する場であることを確認した。また、大乗仏教の修道論からの具五縁などのライフスタイルの調整を通じた自己管理の重要性についても開陳した。最後の第IV節では、ターミナルケアも現代社会においては仏教医学の一部であり、特に、その際に不死性の感得が重要であることを指摘した。また、「貧困、病苦で苦しむ人々は文殊菩薩その方である」という代理苦思想は利他行の稀代な形態であるが、重要な仏教医学の一環となっていることを述べた。さらに、人々は相互に扶助を重ねて共生している衆生の恩についても言及した。 |
現代医学と仏教医学, 四諦, 業, 代理苦, 衆生の恩 |
Departmental Bulletin Paper |
日本語 |
村岡潔 |
MURAOKA Kiyoshi |
仏教学部論集 |
佛教大学仏教学部 |
2185419X |
104 |
87 |
100 |
2020年03月01日 |
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https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/BR/0104/BR01040L087.pdf |
https://archives.bukkyo-u.ac.jp/repository/baker/rid_BR010400010429 |
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