後期近代に加速したグローバル化は,一国民国家を超越した規模での「社会的なもの」の再編をおよぼした。同時にこの趨勢は,従来の「文化的なもの」の形式と解釈内容,社会関係および社会制度との相互作用の様態において徹底的な変容をともなうものである。なぜなら我々は,言語を母体とする象徴的な媒体や諸実践をつうじた多元的な意味の伝達のなかで,政治的・経済的システムの再帰性と不可分に関与しているからである。本稿の目的は,カルチュラルターンの見地に立った社会学理論の創発可能性を担うグローバル化論を概説することで,文化的なものを貫く今日的特性,すなわち「共時性」の特定化を試みることにある。 |