FO001500009262 |
SOL倫理とQOL倫理 : 障害者の処遇をめぐる学生の意識 |
SOL Ethic vs. QOL Ethic : Students' Decisions about How to Treat People with Disabilities |
本稿では、生命倫理・医療倫理におけるSOL倫理(Sanctity of Life Ethic)とQOL倫理(Quality of Life Ethic)という対立する倫理観について、特に、昨今の大学生の持つQOL倫理的志向について言及します。QOL倫理の考え方は、21世紀になると、近年の「津久井やまゆり園」の事件に見るまでもなく、健常者対障害者の問題に向き合う社会福祉の場にも認知症や知的障害などの人々を対象としつつひそかに拡散しており、決しておろそかにできないテーマです。 本稿では、まず、SOL倫理とQOL倫理についての定義を示し、第II節では、古典的なJ・サイケビッチ事例を用い、第III節では、いわゆる染色体異常の「障害新生児」の事例を紹介し、それに対して筆者が担当した講義の受講生の意識や反応について授業内アンケート等を参考に検討しました。「サイケビッチ氏」は、急性白血病の67歳でIQ10(3歳児相当)で、化学療法をしないと肺炎等で死亡する確率が高い事例です。A大学の看護学生49名では、化学療法を行なうとした学生が13名(26.5%)で、化学療法はしないとした学生が約3倍の36名(73.5%)でした。また、「医療と人権」の受講生55名に、「障害新生児」の人工呼吸器を続行すべきとした学生が32名(58.2%)で、外すべきとした学生が23名(41.8%)でした。 最後に、看護学生46名では、Q1)『「障害者」と「健常者」はどこが違うか?』という問いに、74%が明確な違いがあるとしました。Q2)『自分はどちらと思うか?』には、78%が自分は「健常者」であると答えました。しかし、残りの22%は、両者の違いについては明確な境界はなく、自分は必ずしも「健常者」とは言い切れないといった見解を示しました。 これらは、昨今の学生のSOL倫理とQOL倫理ついての意識を知るための一助となると考えられます。 |
SOL倫理とQOL倫理, 障害者と健常者, サイケビッチ氏と障害新生児, 大学生の視点, 社会福祉 |
Departmental Bulletin Paper |
日本語 |
村岡潔 |
MURAOKA Kiyoshi |
社会福祉学部論集 |
佛教大学社会福祉学部 |
13493922 |
15 |
115 |
125 |
2019年03月01日 |
https://bukkyo.alma.exlibrisgroup.com/discovery/openurl?institution=81BU_INST&vid=81BU_INST:Services&rfr_id=info:sid%2Fsummon&rft_dat=ie%3D21291377890006201 |
https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/FO/0015/FO00150L115.pdf |
https://archives.bukkyo-u.ac.jp/repository/baker/rid_FO001500009262 |
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