FO002000011736 |
次社会における精神保健とコミュニティ・コモンズの生成 |
Mental Health and The Creation of Community Commons in the Next Society |
精神保健医療福祉システムの次社会のあるべき姿を検討していくにあたり,現在日本では開かれた社会,つまり地域共生社会をめざした制度改革がすすめられているものの,実際はある種の危うさを孕んだ過渡的社会である。そうした現状を本稿では地域の囲い込みと新アサイラム的課題として抽出し,コミュニティ・コモンズの生成に向けて,いくつかの議論にふれながら論じた。最新の精神保健福祉法等の改正では,メンタルヘルスに課題を抱えた人への地域での支援に関する条文が追加された。精神保健領域において支援が必要な対象を制度上広げていくことは,精神科医療の枠にとどまらない。ともすればかつてアサイラムと称された全制的施設の特徴を備えた管理体制が,地域の中に新たな姿としてつくられていくことにシフトしかねない危惧がある。そうした支援の名目での新たな囲い込みは,問題を抱えた人を対象化し,専門職による介入的側面が焦点化されがちである。さらに示唆されるのは市民として生きることからの排除の可能性である。他方,その時代と社会情勢を映す形でメンタルヘルスの問題は次々と浮かび上がり,人々の生活,生活の場であるコミュニティなどの社会関係もそれら影響を受ける。地域サイドでは,これまで以上にさまざまな地域課題に直面し,独自の対応を模索することや固有の地域づくりが求められることになる。これらを踏まえ,地域課題にかかわる人,組織,団体がコミュニティの構成と運営をいかに自明のものとするのか,ひとつに地域の中での回復コミュニティを形成していくプロセスに,社会的共有材としてのコミュニティ・コモンズの概念やメンタルヘルスリテラシーの向上があげられることを確認し,次なる社会への議論の方向性を示した。 |
精神保健, コミュニティ・コモンズ, 新アサイラム, 臨床論と制度政策との相克 |
Departmental Bulletin Paper |
日本語 |
緒方由紀 |
OGATA Yuki |
社会福祉学部論集 |
佛教大学社会福祉学部 |
13493922 |
20 |
131 |
152 |
2024年03月01日 |
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https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/FO/0020/FO00200L131.pdf |
https://archives.bukkyo-u.ac.jp/repository/baker/rid_FO002000011736 |
公開中 |