形容動詞「ただなり」と副詞「ただ」については、意義・用法において共通する点が多いが、その両品詞に認められる意義には、その意義同士の関係などにかなり不明な点がある。形容動詞「ただなり」に認められる意義は、多かれ少なかれ副詞「ただ」にも認められるので、本稿では形容動詞と副詞の共通意義から、副詞の独自意義へという順に、それらの意義を分類して取り上げるとともに、各意義の特徴とその相互関係の把握に努めて、異なる意義同士のつながりを通時的に探り、それを通して意義の分化、および、意義と品詞的な機能との関連について検討を試みる。 |