KG002700010118 |
焼鳥と非軍事 : 坂口安吾「もう軍備はいらない」論 |
坂口安吾が空襲の記憶を記す際に「焼鳥」という濫喩(カタクレーシス)を繰り返し用いたことを重視し、「焼鳥」を眼前にした過去の「戦争」のただなかでいま・ここの「戦争」を予感する、「もう軍備はいらない」(「文学界」昭27・10)について考察した。朝鮮戦争を大きな契機として再軍備化に舵が切られていく情勢の中で、酔っ払いがくだを巻くかのように非軍事を説く本作は、「焼鳥」をめぐる非論理・非倫理を文章化し、「戦争」を表象しようとする。「私」と「オレ」に分裂し、「焼鳥」になるプロセスを辿る言葉の運動性は、再軍備肯定論者が人間と「動物」を区画し、セキュリティによって自分たちを守ろうとする欲望を、切断するものであった。さらにその非軍事への欲望は、軍事―産業―資本主義の回路からも逃れていく。本作は、危機を煽り立てられ、自らを「焼鳥」とは無関係の者として生きるあらゆる時空の人々へと、非軍事を呼びかけている。 |
Departmental Bulletin Paper |
日本語 |
福岡弘彬 |
京都語文 |
佛教大学国語国文学会 |
13424254 |
27 |
34 |
49 |
2019年11月30日 |
https://bukkyo.alma.exlibrisgroup.com/discovery/openurl?institution=81BU_INST&vid=81BU_INST:Services&rfr_id=info:sid%2Fsummon&rft_dat=ie%3D21299604520006201 |
https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/KG/0027/KG00270R034.pdf |
https://archives.bukkyo-u.ac.jp/repository/baker/rid_KG002700010118 |
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