KG002700010127 |
同格のガ・対象を指し示すガ・特指のガ |
上代のガには、古事記の「わが二人」に同格のガが認められる。記紀萬葉の「見が欲し」は「見ることが欲しい」、萬葉集の「妹が見まく欲し」は「妹を見たい」で、ガは願望の対象を指し示す。自発の「君が見ゆ」「妹が思ほゆ」のガは、「見える」「思われる」の対象を指し示す。不可能の「妹が見えぬ」のガも「見えぬ」の対象を指し示す。これらを<対象を指し示すガ>と名付ける。これは、現代語の「絵が見たい」「山が見える」「山が見えない」などと同じである。天草版イソホ物語には「用心が要る」の用例があり、このガは必要の対象を指し示し、これも現代語に続くものである。また、萬葉集の「吾が背子を大和へ遣るとさ夜ふけて暁露に吾が立ち濡れし(吾立所霑之)」の「暁露に吾が立ち濡れし」は、連体形止めで詠嘆をあらわすと考えるのが一般である。しかし、これは、ひそかに別れを告げに来た弟を思い、いつまでもその場に立ち尽くす姉の慟哭のこめられた、強いことばで、この場合の「ガ」は係助詞であると考える。特別に強く指示するということで、これを<特指のガ>と名付ける。現代語の「私が山田です。」に続くものである。 |
Departmental Bulletin Paper |
日本語 |
田中みどり |
京都語文 |
佛教大学国語国文学会 |
13424254 |
27 |
220 |
243 |
2019年11月30日 |
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