KG003100011789 |
雌鳥皇女と女鳥王:記紀のイハノヒメ物語 |
本稿は前稿(「クロヒメ・クガヒメからみた記紀のイハノヒメ嫉妬物語」『美夫君志』106号、2023・4)をうけ、記紀の比較を通してメドリとハヤブサワケの反乱を考察した。その際『日本書紀』の仁徳条全体を視野に入れ、そこから『古事記』を考えたところに特徴がある。『書紀』を丁寧に読むと、隼別王の反乱の意図が明らかになる中で、仁徳は何度も忍耐し、私事と国家の軽重に悩む。『古事記』には全く描かれない仁徳の寛容・忍耐は、実はイハノヒメの嫉妬物語など仁徳紀全体に及ぶ。さらにそれは、新旧皇后の対照的な描き方とも関係する、いわば『書紀』の基本姿勢なのである。一方、『古事記』は仁徳とイハノヒメに対する反発が、女鳥の積極性とつながり、誅伐に至る。しかし、最後の速総別の二つの歌は、一転二人の喜びを表現する。反逆者の幸福は意外だが、歌による交流によって慰められ和解がもたらされるのは、『古事記』イハノヒメ物語と同じなのだ。一方『書紀』の隼別の歌は、歌による和解や慰めを重視しない態度につながるように思う。これを踏まえ、「後日譚」における大后と皇后の違いを考えてみた。 |
Departmental Bulletin Paper |
日本語 |
菊川恵三 |
KIKUKAWA Keizo |
京都語文 |
佛教大学国語国文学会 |
13424254 |
31 |
81 |
94 |
2024年02月29日 |
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https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/KG/0031/KG00310R081.pdf |
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